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レイヴパーティーの現状と2次元児童ポルノ規制の類似点


■現場で見たレイヴパーティーの姿
のりピー騒動やら何やらで、すっかり「ドラッグ乱用の温床」「クズの集まり」というイメージが定着したレイヴパーティー。要は公園やキャンプ場などの野外でトランス等の音楽を大音量で流し、参加者が踊り狂うというもので、80年代のヨーロッパで発祥したものが日本にも入ってきて今でも続いている。
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左は欧州でのレイヴ。右は日本のレイヴでの何か凄い画像

レイヴにもトランスにも全く関心がなかった筆者ですが、1年ほど前からレイヴに興味を持ち、レイヴにスタッフとして参加したり、機材レンタルの手伝いなどで他のパーティーをのぞいたりしたことで、現場レベルでの実態が分かってきた。

まずドラッグ関連については、蔓延しているという認識はあながち間違ってはいない。
あるレイヴパーティーでは、DJブースに大麻入りクッキーが置き忘れられるという珍事も目撃したことから、参加者のみならずDJの中にもドラッグ使用者はいると思われる。参加者にしても、壁に向かって話しかけている奴、ひたすらコインを積み重ねて崩しては笑っている奴、ドラッグで酔い潰れて痴漢に乳を揉まれまくっていても気付かない女性など、おかしな人達をたくさん見掛けた。

とはいえ、参加者にしてもDJにしてもドラッグ使用者はほんの一部であり、普通に遊びに行って踊っているだけならば、ドラッグ等の犯罪とかかわることはない。ドラッグ使用者にも話を聞いたが、ほとんどが自分でドラッグを用意して行ったり、自分から売人に接触していた。
レイヴがなくなっても、彼らは似たようなイベントで自ら進んでドラッグを使用するであろうし、レイヴという文化が悪いのではなく犯罪に手を染める人間が悪いだけである。

しかし、レイヴにドラッグ使用者や売人が集まりやすいのは事実で、これはレイヴという文化が発祥の時点でドラッグと切っても切れない関係にあったことが大きい。押尾学事件で注目されたMDMAは、レイヴ御用達のドラッグとして知られている。レイヴに慣れ親しんだ者ほど、創成期のレイヴにあこがれ、「ドラッグを使ってこそのレイヴ」と考えているフシがある。ただし、これもロックやパンクにドラッグがつきものだったのと一緒で、レイヴだから特別にどうという話ではない。

もちろん、そういった環境にあるレイヴを社会的に問題視するのは正しい判断である。しかし、若者文化とドラッグの関係は今に始まったことではない。クラブが流行する以前の90年代はディスコで同じようにドラッグが蔓延していたし、もっとさかのぼれば現在のレイヴパーティーに眉をひそめている団塊世代もハイミナール(催眠・抗痙攣薬)を使ったパーティーをやったいたし、60~70年代当時の野外音楽イベントでも大麻は蔓延していたと聞く。

つまりは、多少の形が変わっただけで以前からの若者文化と同じであり、そこにドラッグ等の犯罪がかかわってくるのも変わらない。そういった文化が問題視されるのも歴史の繰り返しであり、程よく叩かれて沈静化し、また形を変えた文化が盛り上がるだけなのだ。エジプトの古文書に「最近の若い者は…」と書かれていたというエピソードのように、叩く方にしても叩かれる方にしても、人類の進歩のなさが感じられるだけである。

■レイヴへの風当たり
レイヴ開催に対する風当たりが思った以上に強いことも実感した。とにかくイメージが悪く、ドラッグの問題だけでなく、ヤンキーが酔ってケンカをしたり、器物破損したり、割れたビンなどのゴミを放置したりと、「パーティーでの恥はかき捨て」と考えている連中が多い。日本のレイヴはヒッピー層が中心だったが、そこに行き場のなかったヤンキー層が流入し、ギャル、ギャル男なども目立つようになってから一気に客層が悪化している。
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あるレイヴではケンカで流血した男性が倒れ、そのまま放置されていた。また、家族連れもいる牧歌的なレイヴもあれば、粋でないヤンキーばかりが集まりケンカや盗難等も頻発するレイヴもあり、当たり外れが大きくなっている

そんなことが積み重ねられ、レイヴパーティーに会場を貸さない公園やキャンプ場が増えている。
パーティーの聖地と呼ばれる「代々木公園」は、最近になって音楽イベントへの貸出しを実質的に受け付けなくなった。
もちろん、正当な理由なく自治体管理の公園が一般市民への貸し出しを断ることは問題があるので、音楽イベントができないくらいの音量制限を利用規約に盛り込むという形だ。
これは、住民からの騒音苦情があったからとレイヴ主催者側に説明されているが、あるレイヴ主催団体が聞き込み調査したところ、地元の町内会や住民からの目立った苦情はない。
実際に強く苦情を出しているのは、公園の近くにあるNHKと代々木体育館の前でやっている「コルテオ」(シルク・ドゥ・ソレイユのサーカス)であることが判明した。
NHKやコルテオの苦情を無視するべきだとは言わないが、たった2つの営利団体からの苦情で、一般の貸し出し希望者を締め出すという対応には疑問を抱かざるを得ない。

では、代々木公園でダンスイベントや音楽イベントが本当になくなったのかといえば、そうではない。
公園の規約が変わってすぐに、韓国のダンスグループ「BIGBANG」のフリーライブが開催され、ファン8000人(主催者発表)が押し掛けている。一般のレイヴイベントであれば、多くても客は300人くらいのもの。
ステージも特別に改造してあり、スピーカーも大型で規約の音量制限を守っているとは考えられず、どう見ても一般のレイヴより公園の一般利用者や住民にとって迷惑だと思われる。
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左がBIGBANGのライブステージ。右が通常の代々木公園野外音楽堂

上記のケースだけでなく、ダンスイベントでも企業のバックアップがある商業イベントは開催が続いている。
企業の後ろ盾があると役所的に断りづらいし、大きなイベントならば客が地元に金を落とす。
フジロックなどの野外フェスでも薬物使用者がいるのは周知の事実だが、あれはバックに巨大なスポンサーがいるし、宿泊費や飲食代など客が地元に多額の金を落としていくため、地元から歓迎される形で開催される。
こちらの場合は、野外フェスを迷惑に感じている一部の一般住民の声は無視に近い扱いをされている。

一般の人達が主催するダンスイベントは、そんな後ろ盾がないから、公園側としたら断っても後腐れがないし、集まるのは金のない若者ばかりだから地元に金も落ちない。
結局は、一般人主催のレイヴなどに貸し出しても「メリットがない」という理由が主であろう。

これは代々木公園だけでなく、都内の公園などではほとんどがレイヴパーティへの貸し出し禁止の方向になりつつある。
利用規約を変える方法もあれば、急に使用料を倍以上に値上げしたところもあり、ほとんどが正直に「貸し出し禁止」とは言わない。自分たちに非がないように利用を断る方法を考えることに関しては、感心させられるものがある。
それだけに止まらず、ついに一部の自治体(岐阜県関市)は市営キャンプ場にレイヴ貸し出し禁止を通達した。これは常識的に考えれば問題があるように思えるが、世論の後押しを獲得していれば反対の声は起きにくいために可能なのである。

■2次元児童ポルノ規制との類似点
上記の問題が何かに似ているなと思ったら、児童ポルノの2次元規制の話に似ていると気付いた。
2次元規制の話は普通に考えればバカバカしい話である。
しかし、ロリマンガや凌辱物の2次元ポルノを愛好している者が性犯罪に走るケースがマスコミ等で問題視され、世間的にロリマンガ愛好者=犯罪者予備軍というイメージが強くなっている。全く無関係のように見えて、構造的にはレイヴの薬物問題のイメージと非常に似ている。
もちろん、ロリマンガ愛好者で犯罪に走るのは一握りの者だし、それは犯罪者が悪いのであって2次元作品のせいではない。そういった者は、ロリマンガや凌辱物作品が手に入らなくても別のきっかけで犯罪に走るのだろうが、世間的には犯罪者も単なる愛好者も「自分の知らないところでよく分からないことをしている気持ち悪い存在」として同じである。
レイヴパーティーに集う者への世間のイメージも全く同じである。

ロリコン作品があるから犯罪が起きるのだという考え方、レイヴがあるから薬物が蔓延するという考え方、どちらも問題の本質をはき違えている。
無理解からくる報道の鵜呑みにより、世間的な偏ったイメージが形成され、法律的に問題があるのではないかと思われる規制が検討される状況も似ている。
同時に、これは主催者や出版社、レイヴ参加者、ロリマンガ愛好者が世間からのイメージに無頓着だったことが事態を悪化させたという点も共通している。

また、2007年に都立産業貿易センターが「アブノーマルカーニバル」という名称のエロ同人誌即売会に対し、貸し出し拒否を通知したと報道されたことがあった。
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読売新聞夕刊に掲載された記事

筆者は某誌での記事執筆のため、同センターを運営する東京都中小企業振興公社に取材をした事がある。
応対していただいた担当者は「新聞報道では『貸し出し中止』となっていますが、それは間違いでこちらからは断ってはいません。条例に触れる可能性があるのではないかと主催者側に確認したところ、相手方が自主的に辞退しました」と主張していた。
しかし、条例うんぬんの問題であればコミケのように自主規制的な対策を講じればいいだけで、確認程度で告知済みのイベントを急に取りやめるとは思えない。
これはレイヴの貸し出し禁止と同じで、自治体管理の施設が明確な理由なしに一般市民の利用を断るということには問題があり、実質的には強制であっても「自主的に辞退した」という形にしたいわけである。

自分は即売会の主催者にも取材したが、驚くことに「記事を掲載した読売新聞からは、当方に取材依頼がありませんでした」と言われた。
こうなると、主だった報道では管理者側の言い分ばかりが強調され、主催者側の言い分は無いものとして扱われてしまう。
さらにマスコミ的な誇張した表現も入り、世間からのイメージはさらに悪くなる。

2次元エロ業界でもレイヴでも、世間に迷惑を掛けないようにやっている真面目な人々はいるのだが、そういった人々の声が大手マスコミで紹介されることはない。
さらに、どちらも擁護すれば「お前もロリコンか」「お前も薬物をやっているのだろう」と言われ、表立った場所で擁護する者も少ない。
これでは状況は悪化することはあっても、改善することは難しいだろう。
ただし、繰り返しになるが当事者の問題意識の低さが招いた事態でもある。

世間からの白眼視に耐えながら自分たちの愛する文化を守ろうとする一部の人々を応援したいと思うと同時に、こうやって文化が創造されては無理解によって潰されていくのは、延々と続いていく人間の避けられない業なのかとも思う。
レイヴに集まる人々は気持ち悪いロリ文化など滅んでも構わないと思っている者が多いだろうし、オタクはヤンキーばかりで薬物が蔓延するレイヴなど滅んでもいいと思っているだろう。
抑圧された者同士ですら実は互いに偏見を持ち、大人たちに理解されない文化を愛する若者たちも年を取れば下の世代の文化を理解しないまま批判するようになる。

違った見方をすれば、長いスパンで考えれば世間からの抑圧は、文化を発展させていくために必要不可欠なものなのかもしれない。

そういったことを踏まえながら、世間から異常な批判を受ける二つの文化に今後も注目していきたい。

※上記の文章はIPUSIRON氏主催のWEBマガジン「Wizard Bible」に寄稿したものに、画像とキャプションを加えたものです。
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